①省エネ・省CO2 | 脱炭素社会を目指す第一歩、エネルギー使用量の減らし方

エネルギー
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みなさん、こんにちは。

2020年12月、菅首相が2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指すことを宣言しましたが、みなさんは「脱炭素社会」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?太陽光・風力発電のような再エネ、原子力発電、水素など様々なキーワードがありますが、当サイトでは脱炭素社会に向けた第一歩は「省エネ」だと考えています。脱炭素の主役と言えば「再エネ」のイメージが強いですが、これは家計の改善に例えると「収入の増加」にあたります。当然それは大事なのですが、先ず手掛けるべきは無駄な出費を抑える「支出の削減」で、これが「省エネ」にあたります。

また、現時点で国などの補助なく経済合理性が成り立つ再エネはそう多くありません(太陽光パネルはコストダウンが進み、家庭用分野では投資回収が成り立つレベルに到達していますが、それだけでは十分ではありません)。今後、再エネ電源や別途ご紹介する「調エネ」に必要な技術はコストダウンが進むことが予想されますが、現時点では補助金等に頼らざるを得ない状況です。

一方、省エネはその歴史も長く、数多の技術があり経済合理性が成り立つものが少なくありません。例えば、近年急速に普及しているLED照明ですが、従来の電球に比べて1/6の電力で同等の明るさを保てます。LED照明は電球と比べ高価ですが、一般的な条件では1年かからずに元が取れます(※)。同様の理由で、省エネ型冷蔵庫も普及も進んでいます。

エネルギーはどこで使われ、CO2はどこで出ているのか?

しかし、一口に「省エネ」と言ってもその種類は幅広いです。そもそも、世の中ではどこでエネルギーが使われ、CO2が排出されているのでしょうか。以下の図をご覧ください(図の中の絵は、いらすとやさんのものを使わせて頂いております)。

我々は、エネルギー源(一次エネルギー)を活用し、最終的に様々な価値を産み出しています。そして、そのエネルギー源を使う過程でCO2を排出しています。大きくは、①産業部門②業務部門③家庭部門④運輸部門に大別されます(それぞれのCO2排出割合は四角の枠の数値)。それぞれの部門では、必要な「価値」を産み出すために電気や燃料を使用します。ガスや石油・石炭のような燃料を使用すると、その場でCO2を排出します。一方で電気はその場でCO2を排出しませんが、電気をつくる「火力発電所」で燃料を燃やすため、間接的にCO2を排出しています。よく脱炭素と電化を結びつける事がありますが、それは将来的に再エネや原子力発電等の「CO2を排出しない電気」が大半を占めた時に言えることであり、現状のように大半がCO2を排出する化石燃料由来の電気の場合は、逆に電化によりCO2が増えることもあります。

省エネの種類

さて、それでは省エネにはどのような方法があるのでしょうか。大きく分けると「1.我慢の省エネ」「2.効率化の省エネ」に分かれます。また、CO2を減らす観点で考えると「3.エネルギー源の選択」というものもあります。

1.我慢の省エネ

これは、図の右側にある「産み出す価値」そのものを減らす方法です。例えば、暑い/寒い場合にもエアコンをつけずに我慢する、観たいTVを見ない、食べたいものを食べない、暗いのに照明を付けない、ものを作らない、旅行をしない等の行為があたります。確かにCO2は減るかも知れませんが、これは望ましいものではありませんし経済への影響もあります。2020年度は世界的にCO2の排出量が減ったと言われておりますが、コロナ禍における「我慢」によって削減された側面が大きいのではないでしょうか。

2.効率化の省エネ

これは、「産み出す価値」を減らさずに「使うエネルギー」を減らす方法です。例えば、冒頭であげたLED照明の使用や省エネ型冷蔵庫がこれにあたります(得られる明るさや食材の保存効果は同じですが、使うエネルギーは少なくなります)。このほか、断熱性能の高い家に住む(快適性は同じだけどエアコンの使用量は少ない)、節湯型シャワーヘッドを使う(汚れの落ち方は同じで使うお湯は少ない)、効率的な生産設備を導入する(少ないエネルギーで同じ商品を作れる)、高燃費車を使う(少ないエネルギーで同じ距離を移動する)等、事例をあげればキリがありません。効率化の省エネは、我慢を強いずに環境貢献できるだけでなく、光熱費の削減にも繋がることから、積極的に進めるべき事項です。

3.エネルギー源の選択

こちらは省エネとは異なりますが、使うエネルギー源を変えることでCO2を減らすことが出来ます。例えば、石炭・石油・天然ガスを比較すると、同じエネルギーを使う場合に排出するCO2の量は、10(石炭):8(石油):6(天然ガス)となります。つまり、家庭や工場・火力発電所等で使用するエネルギーを石炭から天然ガスに変えるだけで、4割のCO2が削減できます(これが、最近石炭火力発電所が問題視され、天然ガス発電が増えている理由です)。さらに、原子力はCO2排出量がゼロとなりますが、こちらは過酷事故発生時のリスクや放射性廃棄物の処理等の課題もあり、積極導入が行われていない状況です。再エネの導入もエネルギー源の選択に当たりますが、こちらの説明は再エネの記事で行いたいと思います。

まとめ

さて、ここまでご紹介した通り、省エネ・省CO2には大きく分けて3つの方法がありますが、「効率化の省エネ」「エネルギー源の選択」は今後さらに推進すべき取り組みです。このような取り組みは昔からされているので「今さら省エネの余地は無いのではないか」とお思いの方もいるかも知れませんが、最近はAIやIoTのような技術の発達に伴い「人がいちいち判断して操作するのが面倒な省エネ行為」を代行する商品も出始めています(人がいないと消灯する照明、人がいる方向を集中的に冷す/暖めるエアコン等)。今後も、新たな技術やアイデアの創出が期待できる分野と思います。それでは、省エネのお話はここで一区切りとさせて頂きます。

参考リンク・資料

  1. 部門別CO2排出量の現況推計|環境省 地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト (env.go.jp)

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